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SUIFUYO
染付鉢「酔芙蓉」径39cm
2021年
第9回 菊池ビエンナーレ 入選作品
ホモ・ファーベルの断片 出品作品
愛知県陶磁美術館 収蔵
「染まる」という現象は、人にも草花にも起こり得る。
かつて人が、花弁の白から紅に染まっていくさまに「酔」の漢字を充てたのは、自身を重ねたからだろう。それは花への共感にも似た優しさのように思われる。
俳句では、酔芙蓉を「白芙蓉」「紅芙蓉」と一文字を入れ替えることで表現を使い分ける。とすると、私が制作したのは、霧染鉢「紅芙蓉」だろうか。
明け方にはすっかり紅色に染まって萎んでしまう一日花。
作品の中では、萎んだ姿が愛らしい象徴のように存在するけれど、実際は驚くほどの優れた仕掛けで、色と姿を変化させている。
それは人の心を癒すほどに美しい。
「ホモ・ファーベルの断片」展より(2022年)
正円子について
「正円子」とは金を含む陶芸用の高級顔料の名称です。それを絵付けや釉薬に用いた作品は、幕末に流行したとされています。
焼成前は赤茶色の粉末ですが、還元焼成すると淡いピンク色~赤紫色に発色します。
この鉢では酔芙蓉の花に見立てた器の縁部と萎んだ花の絵付け部分に、愛知県瀬戸市由来の時代物の正円子を使用しています。下の写真は正円子を包んでいた包み紙で、「特別品 別上等 本竈正圓子」と記されています。
瀬戸では天保年間(1830年~1844年)に、いくつかの最初の使用例が知られています。
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